< 問題本文 (31〜32) >
31.
彼はさっきのように左手を病人の頭にまわすと、ちょっと抱き起(おこ)して、またしてもひっきりなしに、特に念入りにふうふう吹きながら、匙(さじ)で茶を飲ませはじめた。どうやら、ふうふう吹くというこの過程に、回復にもっとも大切でしかも有益な要因が存在するとでも思っているらしい。
(新潮文庫)
32.
だが二人はなにを話していいのかわからなかった。二人は笑ったり、泣いたりしながら、連絡もなければ意味もない無数の言葉を、口から出まかせに喋(しゃべ)りつづけた。私たちは歩道を歩いているかと思えば、急に後戻りをしたり、やたらに往来を横切ったりした。それから足をとめて、また河岸通りのほうへと道を横切って歩きだす。二人はまるで子供のようだった……。
(小沼文彦訳)
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