ドストエフスキーの言葉 ()
(
更新:24/01/31)
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<「人間」について> 


「世の中にはまったく立派な人間が実に大勢いるものなのですね。 」
(
書簡より。)



「聖者というものは、非常に高価なダイヤモンドだからね。こういうひとりの人間は、ときによると、一つの星座ほどの値うちがあるよ。」
(
『カラマーゾフの兄弟』より。) 



人間というものは罪深いものだ。」
(評論「ロシア文学論」より。)


人間は秘密の存在です。この秘密を解かなくてはなりません。一生をこの秘密の解明に費やしたとしても、時間を無駄にしたとは言えない。ぼくはそういう秘密に取り組んでいるのです。なぜなら、人間になりたいから。」
(1839816日付けの兄ミハイル宛の、ドストエフスキー18歳の時の手紙の一節。)


イヴァン「ぼくが考えてみるに、もし悪魔が存在しないとすれば、つまり人間が作り出したものということになるね。そうすれば人間は自分の姿や心に似せて、悪魔を作ったんだろうじゃないか。」
アリョーシャ「そんなことを言えば、神さまだって同じことです。」
(『カラマーゾフの兄弟』より。第3編第3。新潮文庫の上巻のp459)


「その上俺がどうしても我慢できないのは、美しい心と優れた理性を持った立派な人間までが、往々(おうおう)、聖母(マドンナ)の理想をいだいて踏み出しながら、結局ソドムの理想をもって終るという事なんだ。いや、まだまだ恐ろしい事がある。つまりソドムの理想を心にいだいている人間が、同時に聖母の理想をも否定しないで、まるで純潔な青年時代のように、真底から美しい理想の憧憬(どうけい)を心に燃やしているのだ。いや実に人間の心は広い、あまり広過ぎるくらいだ。俺は出来る事なら少し縮めてみたいよ。」
(『カラマーゾフの兄弟』の長男ドミートリイの言葉。第3編第3。新潮文庫の上巻のp203)
※、ルージンさんの投稿により掲載。


「それにしても、人間(劣悪な環境の中でも、慣れていけば、)生きられるものだ!人間はどんなことにでも慣れられる存在だ。わたしはこれが人間のもっとも適切な定義だと思う。」
(『死の家の記録』より。新潮文庫のp15)


「どんなに堕落した人間の心の中にも、きわめて高尚な人間的な感情が残されていないものでもない。人間の心の深部は究(きわ)めつくせないものである、だから頭から堕落した人間を軽蔑してはならない。いや、むしろ反対に、その美点を探し出して更生させてやらなければならない。一般に認められている善悪とか、道徳の標準などはあてにならないものである。」
(『ステパンチコヴォ村とその住人』より。)


「神と悪魔が闘っている。そして、その戦場こそは人間の心なのだ。」
(
『カラマーゾフの兄弟』の長男ドミートリイの言葉。第3編第3。新潮文庫の上巻のp203)
※、ルージンさんの投稿により掲載。

10
「満足ってのは常に有益なものだし、あらあらしい無限の権力は、たとえそれが蠅に対するものでも、やはり、一種の快感ですからね。人間は天性、暴君だから、迫害者になるのを好むものです。」
(『賭博者』より。新潮文庫のp56)

11
「わたしはもちろん、哲学者じゃないけれど、しかしどんな人間でも、見かけよりずっと余計に善良さを持ち合わせているもんだと、わたしは思うね。」
(『ステパンチコヴォ村とその住人』より。)


12
ああ、どうして人間はこんなに意地が悪いのだろう?善良な人間になるということはこんなにもすばらしい、こんなにも気持ちのいいことなのに、どうしてわたしはしょっちゅう意地の悪い人間になってしまうのだろう?」
(『ステパンチコヴォ村とその住人』より。)

13
(途中、略) この世の中にいるはみんないい人なのよ。ひとり残さずいい人なのよ。この世の中ってほんとにいいものね。わたしたちは悪い人間だけど、この世の中っていいものだわ。わたしたちは悪い人間だけど、いい人間なのよ。悪くもあればよくもあるのよ……(以下、略)
(米川正夫訳。『カラマーゾフの兄弟』の中の、モークロエ村での酩酊しているグルーシェンカの言葉。第8編の8。新潮文庫の中巻のp335)
※、グルーシェンカ(ドストエフスキー)の結局の人間観が表れた、泣ける絶唱となっている。


14
「現代では、もっとも道徳的と見えた人間が、急にまったくの悪人となる。」
(
『ペテルブルグ年代記』より。)


15
「人間の行為の原因は通常、我々があとになってするその説明よりもはるかに複雑で多様であり、あいまいさがなく明確である場合はまれだ。」
(
『白痴』より。)




<「感情・心理・感覚」について>


「人間は、こわいと思う人のことは軽蔑しないものである。」
(『白痴』より。)



「敵に対する恐怖は、敵に対する憎悪(ぞうお)をも根絶やしにしてしまうものである。」
(
『悪霊』より。)



「感情は絶対的なものである。なかでも嫉妬(しっと)はこの世の中で最も絶対的な感情である。」
(『永遠の夫』より。)



感覚というものは知力には従わない。」
(
『虐げられた人びと』より。)



怒りは最も神聖なものであり、怒りを発するためにはハートが必要である。」
(
『評論集』より。)



「絶望のなかにも焼けつくように強烈な快感があるものだ。ことに自分の進退きわまったみじめな境遇を痛切に意識するときなどはなおさらである。」
(
『地下室の手記』より。)


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