その他のドストエフスキーの独自の思想・物の見方・言論活動・関心事
ドストエフスキーの独自の思想・物の見方・言論活動・関心事として、そのほかに、
以下のことなども、注目される。
・人間の好色性・情欲・性欲について、トルストイに比べ、過度の禁欲は排する立場を取っていること。
・生命や生(せい)というものを、ありがたく思い、生を大事にしていく立場を取っていること。
・夢や人間の意識下への関心があり、これらは作品にしばしば見られること。
・「不死」という事実(考え)を要求して、不死がなければ善行や利他行は無い、神(神への愛)の中に不死がある、といった考えを打ち出していること。
・苦悩(苦痛)を通しての自己(罪人)の浄化という思想を持っていたこと。
・自意識過剰の人間についての観察・考察が作中に見られること。
等の鋭い人間観を数多く残している。
・「都会」「自然」について、自然との触れあいを重視していたこと。
・西欧文明社会(西欧ブルジョア社会)、近代西欧の科学的(数学的)合理主義、進展していく科学技術、物質的に恵まれた管理社会に対する鋭い批判や警鐘が見られること。
・社会主義の無神論性の指摘や、キリスト教的社会主義に対する批判が見られること。
・西欧型共和制、君主制、ツァリー(皇帝)崇拝に対して好意的であったこと。
・アダムとイブの堕罪以前の社会とも言うべき友愛の楽園(黄金時代、理想郷、ユートピア)への憧憬を持っていたこと。
・ナショナリズムに立っての、当時の対外戦争に対する肯定・賛美(「聖戦」という考え)の発言があったこと。
・家庭・親子(世代)の断絶・子供の教育のあり方についての発言があったこと。
・当時ロシアで社会問題化していた諸問題(若者の自殺の増加、裁判制度、など)に対する関心や発言があったこと。
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