「登場人物」論において、
定評のあるドストエフスキー論書
『ドストエフスキー人物事典』
(中村健之介著。
朝日選書399。朝日新
聞社1990年初版。)
ほぼ全小説の登場人物の解説と論。
『ドストエフスキイ』
(ウォルインスキー著。
みすず書房1987年刊。)
『白痴』『悪霊』『カラ兄弟』の主要登場人物の論に多くを割いている。
※『偉大なる憤怒の書―「悪霊」研究』
(1904年。埴谷雄高訳、1959年刊。興風館で1942年刊。)
『カラマーゾフの王国―「カラマーゾフの兄弟」論』
(1901年。川崎浹訳、1974年刊。)
『美の悲劇―「白痴」論』
(1899年。大島かおり訳、1974年刊。)
の三書の合本。
『ドストエフスキイ―
近代精神超克の記録』
(吉村善夫著。新教
出版社1965年初版。
1987年に復刊。)
キリスト教神学の立場からの、五大長編と『貧しき人々』『虐げられし人々』の主要登場人物についての論。
『ドストエフスキー
無神論の克服』
(冷牟田幸子著。近代
文芸社1988年初版。)
各章で、五大長編の主要登場人物論も行なっている。
『脱「虚体」論―
現在に蘇るドストエフスキー』
(川喜田八潮著。日本
エディタスクール出版
部1996年初版。)
ドストエフスキーの小説を、近代の人間の病理を鋭くえぐり、生きた生活者としての眼差しを示唆する文学と捉え、「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」「白痴」「地下室の手記」の主要登場人物を批判的に論じている。
『ドストエフスキー
「罪と罰」の世界』
(清水正著。創林社
1986年刊。鳥影社
1991年刊。)
『罪と罰』に登場してくる登場人物の大半に言及し論じている。
『ドストエフスキー・ノート―
「罪と罰」の世界』
(清水孝純著。九州大学
出版会1981年初版。)
の中の「『罪と罰』に見る人間像」。
『罪と罰』に登場してくる登場人物の大半を論じている。
『「悪霊」論―ドストエフ
スキーの作品世界』
(清水正著。Д文学研
究会1990年刊、鳥影社
1990年刊★。)
『「悪霊」の謎―ドストエ
フスキー文学の深層』
(清水正著。鳥影
社1993年刊。)
以上の二書で、『悪霊』に登場してくる登場人物をほぼ網羅して論じている。
『「カラマーゾフの
兄弟」について』
(本間三郎著。審美
社1971年初版。)
『カラ兄弟』の登場人物の多くに言及し論じている。
おすすめの、
「主要登場人物」論の文章
『罪と罰』
ラスコーリニコフ
・中村健之介「ラスコーリニコフ」
〔『ドストエフスキー人物事典』(朝日選書1990年初版)の「罪と罰」の中の一項。p202〜p211。〕
・作田啓一「『罪と罰』について」
〔『ドストエフスキーの世界』(筑摩書房1988年初版)の中の一項。p11〜p53。〕
ソーニャ
・吉村善夫「神の愛と義―マルメラードフおよびソーニャ論」
〔『ドストエフスキイ―近代精神超克の記録』(新教出版社1965年初版。1987年に復刊。)のp96〜p113。〕
スヴィドリガイロフ
・吉村善夫「罪と無道徳主義―スヴィドゥリガイロフ論」
〔『ドストエフスキイ―近代精神超克の記録』(新教出版社1965年初版。1987年に復刊。)のp82〜p92。〕
『白痴』
ムイシュキン公爵
・川喜田八潮著『脱「虚体」論』(日本エディタスクール出版部1996年初版)のp128〜p143。
・作田啓一「『白痴』について」
〔『ドストエフスキーの世界』(筑摩書房1988年初版)の中の一項。p61〜p85。〕
ナスターシャ‐フィリポヴナ
・中村健之介「ナスターシャ」
〔『ドストエフスキー人物事典』(朝日選書1990年初版)の「白痴」の中の一項。p269〜p274。〕
・J‐M‐マリ著『ドストエフスキー』
(1916年刊。山室静訳・アポロン社1960年初版。1983年に泰流社より新装版。)のp95〜p102。
ロゴージン
・中村健之介「ロゴージン」
〔『ドストエフスキー人物事典』(朝日選書1990年初版)の「白痴」の中の一項。p296〜p305。〕
・清水孝純「ロシアのファウスト―『悪霊』―」のp106〜p107。
〔『道化の風景―ドストエフスキーを読む』(九州大学出版会1994年初版)の中の第三章。〕
『悪霊』
スタヴローギン
・ウォルインスキー「仮面」
〔『偉大なる憤怒の書―「悪霊」研究』(埴谷雄高訳)のp13〜p67。(『ドストエフスキイ』(みすず書房1987年刊)に所収。)〕
・中村健之介「スタヴローギン」
〔『ドストエフスキー人物事典』(朝日選書1990年初版)の「悪鬼ども」の中の一項。p339〜p346。〕
・吉村善夫「カトリック主義―スタヴローギン論」
〔『ドストエフスキイ―近代精神超克の記録』(新教出版社1965年初版。1987年に復刊。)のp226〜p252。〕
・森有正「スタヴローギンの精神像」
〔『ドストエーフスキー覚書』(筑摩叢書。筑摩書房1967年刊。森有正全集巻8にも所収。)のp60〜p95。〕
・清水孝純「ロシアのファウスト―『悪霊』―」
〔『道化の風景―ドストエフスキーを読む』(九州大学出版会1994年初版)のp116〜p133。〕
キリーロフ
・カミュ「キリーロフ」
〔佐藤朔・白井浩司訳。『シーシュポスの神話』(新潮世界文学「カミュ(U)」)の中の「不条理な創造」のp374〜p381。〕
ピョートル
・清水正「ワラウ悪魔・ピョートルの現代性」
〔『ドストエフスキーの暗号』(日本文芸社1994年刊)のp127〜p164。〕
『カラマーゾフの兄弟』
ドミートリイ
・小林秀雄「「カラマゾフの兄弟」について」のp195〜p207。
〔新訂「小林秀雄秀雄全集」第6巻(講談社1978年初版)に所収。〕
・ウォルインスキー「ドミートリイ・カラマーゾフ」
〔『カラマーゾフの王国―「カラマーゾフの兄弟」論』(埴谷雄高訳)のp75〜p95。『ドストエフスキイ』(みすず書房1987年刊)に所収。)
イヴァン
・小林秀雄「「カラマゾフの兄弟」について」のp175〜p195。新訂「小林秀雄秀雄全集」第6巻(講談社1978年初版)に所収。)
・中村健之介「イワン」
〔『ドストエフスキー人物事典』(朝日選書1990年初版)の「カラマーゾフの兄弟」の中の一項。p420〜p427。〕
アリョーシャ
・本間三郎「アレクセイ・カラマーゾフ」
〔『「カラマーゾフの兄弟」について』(審美社1971年初版)のp83〜p132。〕
グルーシェンカ
・中村健之介「グルーシェニカ」
〔『ドストエフスキー人物事典』(朝日選書1990年初版)の「カラマーゾフの兄弟」の中の一項。p434〜p439。〕
カチェリーナ
・ウォルインスキー「「大いなる憤怒」の女」
〔『カラマーゾフの王国―「カラマーゾフの兄弟」論』(埴谷雄高訳)のp36〜p54。『ドストエフスキイ』(みすず書房1987年刊)に所収。)〕
ゾシマ長老
・本間三郎「長老ゾシマ」
〔『「カラマーゾフの兄弟」について』(審美社1971年初版)のp133〜p169。〕
コーリャ‐クラソートキン
・森有正「コーリャ‐クラソートキン―『カラマーゾフの兄弟』の中の一挿話」
〔『ドストエーフスキー覚書』(筑摩叢書。筑摩書房1967年刊。森有正全集巻8にも所収。)のp70〜p114。〕
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