ドストエフスキーの
女性関係

(更新:24/02/13)
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※、文末の(  )内の数字は、その事跡の時の、ドストエフスキーの満年齢を示していま
す。




〇最初の妻マリヤ
シベリヤ流刑を終えて後のセミパラチンスクでの服役中、ドストエフスキーの亡き母に名も面影
も似た人妻のマリヤ(当時28)と恋愛に陥り(33)、その夫の死後、結婚(35)しかし、病弱であった彼女は、長期の転地療養や末期における氏の看護もむなしく、持病の肺病を悪化させて病没(42)
※、小説『罪と罰』のカチェリーナ‐イワノヴナ(マルメラードフの妻)、この最初の妻マリヤをモデルにしている、とされている。

〇再婚した妻アンナ
小説『賭博者』の原稿締切期限に間に合わせるために雇った婦人
速記者アンナ(25も年下の20)を見そめて、再婚(45)。彼女は、氏の生涯の終わりまで、寛容な良妻として、氏に忍耐強く仕えた。


愛人

アポリナーリヤ・スースロワ
(1回目の欧州旅行からの帰国後に、作家として再び脚光を浴び始めた氏にあこがれて接近した作家志望の新しき時代の美貌の女性。当時22歳。)
妻マリヤが肺病の悪化で転地療養中に、氏
はアポリナーリヤ・スースロワと恋に陥り、愛憎のからんだ彼女との複雑な愛人関係は、アンナと再婚する1年余り前の、第3回目の欧州旅行の終わりまで、断続して続いた(4144)
※、氏に恋愛の苦渋やその力学を味わわせた彼女は、
後に、『賭博者』の女主人公ポリーナ・『白痴』の副女主人公アグラーヤといった女性登場人物のモデルになる。(彼女は、『白痴』の女主人公ナスターシャのモデルとなったとするドストエフスキー研究者もあり。

その他の恋愛関係として、以下の愛人が知られている。


〇パナーエフ夫人
(デビュー後出入りしていた文芸サロンを主催していたパナーエフ家の夫人。才色兼備の作家。)
彼女への恋情(24)。実らず。ドストエフスキーの伝記の多くでは、この夫人を、ドストエフスキー
の「初恋の人」とみなしている。


〇アレクサンドラ‐シューベルト
(かつての主治医ヤノフスキーの妻。)
服役終了後に出会い、交際(39)。交際は数ヶ月で終わった。


ナジェーダ・スースロワ
(アポリナーリヤ‐スースロワの妹。医大生。)
彼女との交際(40)。まもなく、姉のアポリナーリヤ‐スースロワの方に惹()かれる。


〇マルファ‐ブラウン
(ドストエフスキー編集の雑誌『世紀』の編集部の翻訳者)
雑誌『世紀』の廃刊などで莫大な負債をかかえていた時期、アポリナーリヤ‐スースロワとの仲が断続的に続いていた中、
彼女との恋(43)


〇アンナ‐ワシリーエヴナ‐
コルヴィン=クルコーフスカヤ

(ドスト氏編集の雑誌『世紀』に短編「夢」を投稿してきたことで、知り合った女性。)
アポリナーリヤ‐スースロワとの仲が断続的に続いていた中、
彼女との交際(43)。相手の両親の厳しい監視の中、クルコーフスカヤ家をしばしば訪問し、ドストエフスキーは彼女に求婚するが、彼女から拒絶されて、実らず。


〇ソフィヤ‐ワシーリエヴナ‐
コルヴィン=クルコーフスカヤ

(上記のアンナ‐ワシリーエヴナ‐コルヴィン=クルコーフスカヤの妹。後に高名な数学者となった。)
姉とドストエフスキーの交際の間
、妹のソフィヤ‐ワシーリエヴナ‐コルヴィン=クルコーフスカヤは、ドストエフスキーに淡き恋情を抱き、彼女の回想記には、彼女から見たドストエフスキーと姉との交際の始終が書き残されている。

※、このクルコーフスカヤ家のことは、小説『白痴』のエパンチン家の人々の描写の中に生かされている、とされている。


〇エレーナ‐パーヴロナ‐
イワノーヴナ

(ドストエフスキーの妹ヴェーラ
の義弟の嫁)

アポリナーリヤ‐スースロワと別れた後の
彼女への恋情(44)。ドストエフスキーは、夫が重病にかかっていた彼女に同情し、相互に恋愛感情が芽生えたが、まもなく婦人速記者アンナがドストエフスキーの前に現れ、実らず。



その他

ドストエフスキーは、シベリヤ送りになるまでの青少年期は、社交が苦手で、女性に対してきわめておくてだったとされているが、父の横死後の、後見人から遺産の一部を譲り受けた時期(2223)には、娼窟にもしばしば通っていたとされ、また、上記のソフィヤ‐コルヴィン=クルコーフスカヤの回想記によれば、当時、夜遅くまで飲み歩いたあと、酔った仲間たちにそそのかされて十歳になる少女を強姦してしまった、とのドストエフスキー自身の言(げん)もあり。
シベリヤ流刑を終えて後は、空白の時期を埋め合わせようとするがごとく、氏は、上記のごとく、女性に対してほれやすくなって、数々の片恋や失恋を重ねたが、恋愛の対象となった女性やドストエフスキーの妻となった女性は、いずれも若い女性であることが特徴。また、氏には、少女趣味気()や女性の細い美しい足への嗜好(足フェチ)もあった。

なお、
小説に含まれている内容や氏の青年期の事績から、青年期における同性愛の体験や男色趣味を指摘する説(せつ)もあり。




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