偉人の辞世の言葉(最後の言葉)から、よく知られている有名なもの以外で、しゃれた、印象的な辞世の言葉を、以下に挙げてみます。
偉人の最期の言葉には、昔から興味関心があり、下方の《参考》の三書は昔、古書店巡りで集めたものです。
その偉人の生涯のことを頭に置きつつ、その辞世の言葉を見ていくことは、ほんとに面白い! 意識がもうろうとした中での辞世の言葉には、その人の生涯の面目(めんぼく)や本音(ほんね)が自ずと表れるのでしょう。
現在、1〜24を掲載。
1.
「五月の風をゼリーにして」
(立原道造、
詩人)
2.
「悪魔がそこにいる」
(萩原朔太郎、
詩人)
3.
「もう地獄の炎が?」
(ヴォルテール、
思想家)
4.
「さあ、あれがやって来た」
(ロレンス・スターン、
作家。怪作『トリストラ
ム・シャンディ』)
5.
「涼しい風だね」
(島崎藤村、
詩人・作家)
※、他書では、
「涼しい風が吹いてくる」
としている。
6.
「新生だ」
(北原白秋、
詩人)
7.
「死因をほかの同
志に知らせてくれ」
(小林多喜二、
作家。留置所におけ
る拷問で惨死。)
8.
「黒い光が見える」
(ヴィクトル・ユゴー、
作家)
※、他書では、
「ここで昼と夜が戦っている」
などとしている。
9.
「主(=キリスト)が私の
憐(あわ)れな魂を助け
てくださいますように」
(エドガー・アラン・ポー、
作家)
10.
「神様が私をお見捨て
になりませんように」
(パスカル、
思想家)
11.
「でも私は神を信じない」
(ローゼンベルグ、
ナチス党員。絞首刑執行
前に牧師に「言い残すこ
とはないか」と聞かれ、
それに答えたもの)
12.
「実際に見た半分も
話さなかった」
(マルコ・ポーロ、
旅行家)
13.
「気を落とさないように
しなさい。見てごらん、
空は、なんときれいに
澄(す)んでいるのだ
ろう。わたしはあそこ
に行くんだよ」
(ジャン・ジャック・ルソー、
思想家)
※、他書では、
「太陽をごらん、あの笑
顔がわたしを呼んでい
るのだ。あの限りない光
をごらん。神がいる!
そうだ、神が両手を広げ
て、わたしが今まで欲し
がっていたあの永久不
変の喜びをやっと味
わってごらんと言って、
招いてくれている。」
としている。)
14.
「わたしの魂よ、おまえは
長い間捕らわれの身だ
った。今こそ牢獄を出て、
この肉体のわずらわしさ
を脱せねばならない。
喜んで、勇気をもってこ
の別離の時を迎えよう。」
(デカルト、
哲学者)
15.
「〈造り主〉にお会いする覚
悟はできている。〈造り主〉
のほうに、私に会うという
試練を受ける覚悟ができて
いるかどうかはまた別問
題だがね。」
(チャーチル、
政治家)
※、他書では、
「もうすっかり嫌になったよ」
としている。
16.
「もう駄目だ」
(ルイ・パスツール、
細菌学者)
17.
「辛抱、辛抱……神の
御意(みこころ)の行わ
れんことを。」
(ギッシング、
著述家。著『ヘンリー・
ライクロフトの手記』
18.
「愛、愛、愛!」
(ノーマン・ダグラス、
イギリスの作家)
19.
「私には完璧な信仰心
がある」
(フェルディナント・
ツェッペリン、
飛行機の発明家)
20.
「馬鹿なことを言うな! 最
後の言葉なんてものは、
十分に言いつくさずに生き
て来た阿呆(あほう)ども
の言うことだ」
(カール・マルクス、
社会主義者。最後に言いの
こす言葉はないか、と家政婦
にきかれて、答えたもの。)
21.
「まあ、幸せな人生だったな。」
(ウィリアム・ヘイズリット、
イギリスの著作家・批評
家・随想作家。52歳で没。)
22.
「感謝します。」
(マルティン・ハイデッガー、
ドイツの学者。
1978年、86歳で没。
朝、一度目覚めて、また
もう一度眠り込んで
そのまま息をひきとった。)
23.
「愛し合おう。」
(ジョージ・ハリスン、
ビートルズのメンバー。)
24.
「死以外はいらない。」
(ジェーン・オースティン。
イギリスの女性作家。)
※ ※ ※
《参考》
・『臨終のことば 世界の名言』
(梶山健編、PHP文
庫1995年初版)
・『最期のことば聖者
から死刑囚まで』
(ジョナソン・グリーン編、
刈田元司・植松靖夫著訳、
教養文庫1989年初版)
・『心にしみる最期の言葉398』
(渡部昇一監修、日本
文芸社1986年初版)
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