古今の文学論
(
更新:24/11/02)
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「文学」について短く述べて
いる古今東西の人の言
(
以下の114)を挙
げました。




1.
文学と科学は、パンと
水のようなものである。

(
トルストイ『芸術とは
何か』より。)

※、
解釈は分かれるだろうが、食事中、水(=飲み物)がのど通りをよくし食事に味や潤いを与えるように、文学は、科学のようにパン(=物質的な豊かさや腹の足し)の提供にはあまり貢献できないが、我々の精神生活に楽しみや心の潤いを与えてくれる、と解釈しておきたい。


2.
よい文学があれば、
世界は救われるであろう。

(
マラルメ(フランス詩人)
が知人に語ったとさ
れる言葉。)

※、
詩人マラルメの言った言葉として、言葉で巧みに表現されることによる、現実の個々の物やこの世界の真面目(しんめんもく)の再認識(再発見)、という文学の役割も込めて言っているように思います。


3.
予が(=私の)風雅(=俳句)
は、夏炉冬扇(=夏の炉
端や冬の扇。季節はずれ
のもので生活に役立たな
い物)
のごとし。衆(=民衆
の実益)
にさかひて(=背
いて)
(もちい)る所なし。
(
松尾芭蕉。弟子の
許六(きょりく)に与
えた文章の中の
言葉。)

※、
私が作る俳諧は民衆の実生活には無用だろうが、私など文学を愛する者には、俳諧は、少なくとも、価値ある大切なものである、という思いも込めているのでしょう。


4.
文学―言葉の芸術(
葉を媒介にした芸術)
(某国語辞典)


5.
やまと歌は人の心を
(たね)として、よろ
づの言の葉
(ことのは。
ことば)
とぞなれりけ
(=となったことよ)
(紀貫之。『古今集』
の仮名序より。)


6.
文体とは、その人
そのものである
(=文は人なり)
(
ビュッフォン)


7.
物語は、世の中の物の
あはれ
(もののあわれ)
のかぎりをかき集めて、
読む人を深く感ぜしめ
んと
(=感動させようと
して)
作れる物なり(=作
った物である)

(紫式部。『源氏物語』より。)

※、
・物のあはれ=(哀切な)物事に触れて、心にしみじみと感じる深い感動。
本居宣長(江戸時代中期の国学者)は、『源氏物語』に多用される「あはれなり」「物のあはれ」という表現に注目し、「物のあはれ」を、『源氏物語』ひいては日本の文学の理念であるとした。


8.
文学の面白さは、慰み
もののそれ
(=面白さ)
は異なり、人生的な面白
さである。

(
桑原武夫。『文学入
門』(岩波新書)p25)


9.
事実は小説より奇なり。
(
諺?)


10.
芸術は社会を模倣
する。社会は芸術を
模倣する。

(
)

※、
「芸術」を「小説」と置き換えても、あてはまるでしょう。


11.
文学は、なくてもすませ
る精神のアクセサリー
ではない。
文学は精神
の最も強力な機能の一
つである。

(
ヘッセ)


12.
文学は私のユートピアである。
(
ケラー(スイスのドイツ系作
)の『自叙伝』より。)


13.
文学は、言語のユートピ
アである。

(
ロラン・バルト。『エク
リチュールの零度』
の末部の言葉。)


14.
音楽が人を救うことがあ
るように、ひょっとしたら
小説にもそういった奇跡
的な効能があるのかも
しれません。

(
安壇美緒(現代日本の若
女性作家)の文学賞を得
た際のインタビューの席
での発言。)





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