a  (ロシアの貨幣)
ルーブル(ルーブリ)
コペイカ(カペーカ)
紙幣、銀貨・銅貨・金貨
(
更新:24/09/03)

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当時の貨幣としては、

紙幣銀貨・
銅貨・金貨

があった。

当時は、
1ルーブル=100コペイカ

紙幣としては、
以下のように色分けした
六種類の紙幣があった。

1ルーブル紙幣 (黄色)
3
ルーブル紙幣 (緑色)
5
ルーブル紙幣 (青色)
10
ルーブル紙幣 (赤色)
25
ルーブル紙幣 (灰色)
100
ルーブル紙幣 (虹色)


※、当時の1ルーブル紙幣
(
写真:SEKINEさん提供)


銀貨・銅貨・金貨としては、
以下などがあった。

ルーブル銀貨
(
.5ルーブル銀貨・
1
ルーブル銀貨、など)

コペイカ銀貨
(50
コペイカ銀貨・25コペイカ銀貨・20コペイカ銀貨・15コペイカ銀貨・10コペイカ銀貨・5コペイカ銀貨、など)

コペイカ銅貨
(20
コペイカ銅貨・5コペイカ銅貨・3コペイカ銅貨・2コペイカ銅貨・1コペイカ銅貨・1/2コペイカ銅貨・1/4コペイカ銅貨、など)

ルーブル金貨
(5
ルーブル金貨・3ルーブル金貨、など)

※、金貨は、ドストエフスキーの小説では、ほとんど出てこない。


ロシアコイン集
(
裕さんのページ)


※、1ルーブルと言えば、ふつう、紙幣を指す。当時、ルーブル銀貨は、ルーブル紙幣に比べて、3.5倍低度の価値があった。銀貨2ルーブルと紙幣1ルーブルでは、実質、8ルーブルとなる。


当時の1ルーブル(1コペイカ)は、現在の日本ではいくらになるか、については、

a、約10000(100)
b、5000円〜10000(50円〜100)
c、約5000(50)
d、2200円〜2700(22円〜27)
e、約1000(10)


などのいくつかの説がある。

※、円への換算は困難だそうだが、江川卓氏は氏が翻訳した『罪と罰』(旺文社文庫1966年初版)の解説で、当時の1ルーブル(1コペイカ)は、
当時(1960年代半ば)の日本では、約1000(10)と換算している。1960年代半ばに比べての現在の物価を考慮して換算するなら、現在では、上記のうち、c・dが有力とのこと。


 


b  (人物の姓名・呼称)
名・父称・姓、愛称・卑称
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ロシアの小説を読む場合、ややっこしいのが、登場人物の名前の区別。名前自体が長い上に、正式に呼べば名が三つ並び、また、地の文と会話文とでは呼び方が異なることが多くて、覚えたり区別したりするのに、読者は、始終、閉口・苦労する。

出てくる各登場人物の名を小用紙にメモしつつ、本にはさんでおいて、適宜見つつ確認しつつ読みすすめていく、というのも、一方法。


〇ロシアにおける名前

ロシアでは、名前は、

名前全体を言う正式名としては、
名・父称・姓
の三つを、この順に並べて言う。

例:
アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ(←カラマーゾフ
(
カラマーゾフ家のフョードルの息子アレクセイ、の意)

=両親が自分の子供につける呼び名。
ロシアでも、名はキリスト教の聖人や天使などに由来するものが多くて、大半はポピュラーなものがつけられる。

例:
イヴァン(イワン)←聖書の使徒ヨハネ
ピョートル←使徒ペテロ
パーヴェル←伝道者パウロ
アンドレイ←イエスの弟子アンデレ
ミハイル←大天使ミカエル
ニコライ←ギリシャ語のニコラウス
名は、
男なら、
ボリス、ミハイル、セルゲイ、ウラジミール、ニコライ、ユーリー、アレクサンドル、
女なら、
ナターシヤ、カチューシヤ、ニーナ、ガリーナ、エレーナ、タチヤナ
などが有名。


父称
=父親のから自動的につくられるもの。
息子なら、「〜▲ヴィチ(ヴィッチ)」など、娘なら、「〜▲ヴナ」など、となる。
(
はオ列音になる。)

例:
ドストエフスキーの場合、父親の名は「ミハイル」だから、「ミハイロヴィチ」となる。



=家系の呼び名。「ドストエフスキー」は、名でなくて、姓である。
「〜スキー」「〜▲フ」(「〜▼フ」(▲はオ列音、▼はエ列音)の形がポピュラー。
姓は、キリスト教やロシアにおける聖人・王の名や地名から出来たものが多い。

例:
ペトローフ←使徒ペテロ
ドストエフスキー←初代の先祖が住んだ土地の村名ドストエーヴォ


女性の場合、「姓」の語尾は、
「〜ワ」の形などになる。

例:
ソーフィヤ・セミョーノ
ヴナ・マルメラード
(←マルメラード)



〇愛称、卑称

愛称
=肉親や親しい友人の間だけで使われる呼び方。

の語尾を、「〜ー△ャ」
「〜ー▽チカ」「〜ーニャ」
などに変えて、呼ぶ。

(
△はイ列音、▽はエ列音になる。)

例:
アリョーシャ(←アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ)
ロージャ(←ロジオン・ロマヌイチ・ラスコーリニコフ)
ソーニャ、ソーネチカ(←ソーフィヤ・セミョーノヴナ・マルメラードワ)
ガーニャ(←ガヴリーラ・アルダリオーノヴィチ・イヴォルギン)


の最初の部分を抜
かして呼ぶ愛称もある。
例:
ミーチャ、ミーチカ(ミートリイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ)
ドゥーニャ、ドゥーネチカ(
アブドーチヤ・ロマノヴナ・ラスコーリニコワ)


卑称(蔑称)
=相手をやや軽蔑した呼び方。


父称抜きで、名の語尾を「〜ンカ」などに変えたり、名の最初の部分を抜かしたりして、呼ぶ。

例:
ガンカ(←ガヴリーラ)
ヴァンカ(←イヴァン)



〇種々の用い方

親が子を呼ぶときや、夫婦・兄弟姉妹・親友どうしなどのようにごく親しい間柄で互いを呼ぶときには、だけで呼ぶが、その場合、たいてい愛称を用いる


親しくても目上の人や遠慮をおいて話す間柄の人を呼ぶ時は、はつけず「名・父称」で呼ぶのがふつう。

例:
ロジオン・ロマヌイチ(←ロジオン・ロマヌイチ・ラスコーリニコフ)


小説の中では、作者が、地の文で登場人物について述べる時には、「」、時に、「名・父称」で示す。

例:
ラスコーリニコフ(←ロジオン・ロマヌイチ・ラスコーリニコフ)
パーヴェル・パーヴロヴィチ(←パーヴェル・パーヴロヴィチ・トルソツキー)
ナスターシヤ・フィリポヴナ(←ナスターシヤ・フィリポヴナ・バラシコーワ)
(
※邦訳の日本語表記としては、「ナスターシャ・フィリポヴナ」としているものもあり)


 

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