< 問題本文 (21〜30) >
【正解】
21 … 『未成年』
の第1部第1章の3内のもの。
(新潮世界文学のp38。)
22 … 『白痴』
の第4編第11内のもの。
(新潮文庫の下巻のp536。)
23 … 『悪霊』
の第3部第7章「ステパン氏の最後の放浪」の第1内のもの。
(新潮文庫の下巻のp459。)
24 … 『カラ兄弟』
の第4編第3「中学生たちとの結びつき」内のもの。
(新潮文庫の上巻のp339。)
25 … 『白痴』
の第3編第10内のもの。
(新潮文庫の下巻のp258。)
26 … 『罪と罰』
の第3部第6内のもの。
(新潮文庫の上巻のp486。)
27 … 『虐げられた人びと』
の第2部の末部。
(新潮文庫のp266。)
28 … 『カラ兄弟』
の第9編第8「証人たちの供述。童(わらし)。」内のもの。
(新潮文庫の中巻のp459。)
29 … 『悪霊』
の第1部第2章「ハリー王子。縁談」の第1内のもの。
(新潮文庫の上巻のp63。)
30 … 『二重人格(分身)』
の第10章内。
(新潮文庫のp206。)
【解説・コメント】
21 … ペテルブルグに乗り込んできたアルカージイが、秘書として雇われたニコライ老公爵宅の書斎を訪れて、両者、女性談義に花が咲いた際、女性通のニコライ老公爵が言う言葉。
22 … 終盤、ロゴージン宅を訪れたムイシュキン公爵が、ついにロゴージンの刃にたおれたナスターシャ‐フィリポヴナを寝かせているらしい、薄暗い、カーテンが引かれてあるベットの方へ向けて言う、印象的な一言。
23 … 放浪に出たステパン氏が、片田舎の街道を歩いていく途中、ふと我に返り、四方をはるか見渡した時の眺めを描写している箇所。ドストエフスキーの小説には、まれにこういった周りの自然風景の描写が現れるが、清水正氏は、その著『ドストエフスキー『悪霊』の世界』で(p298〜p299)、この描写箇所に、ステパン氏のことを暗示する象徴的な意味合いを読みとっている。
24 … 運河をはさんで子供たちが石を投げつけ合って争いをしているのに出会ったアリョーシャが、一人で応戦している子供(イリューシャ)の側におもむき、アリョーシャにも歯向かおうとするイリューシャに繰り返しわけを問いただした時の、イリューシャの最終の反応のシーンを描写した箇所。
25 … ロゴージンと式をあげることになっていたナスターシャ‐フィリポヴナが、約束した公園でムイシュキン公爵に会って、いきなり往来にひざまずき、涙を流しつつ公爵に問いかけるシーン。ナスターシャは、その以前から公爵とアグラーヤが結びつくよう、画策(かくさく)していた。
26 … ラスコーリニコフが、夢の中で、老婆殺害の現場に行き、部屋のすみに老婆を見つけて、うつむいている老婆を再び斧でなぐりつけるも効き目がないというシーン。
27 … 私(語り手イワン‐ペトローヴィチ)が孤児ネリーに出会って親しくなり、子供ながらにネリーが語った、ネリーの亡くなった母親のペテルブルグでの悲惨な物語を私が総括して短く解説した箇所。
28 … 家長殺害事件の尋問を受けたドミートリイが、尋問が終わった後、部屋の奥で横になってうたた寝をして、夢の中で、荒野でひもじく泣いている極貧の親子の姿を見かけ、彼らを何とかしてあげたいと思った時にドミートリイに生じたこととその夢からの覚醒(かくせい)のシーンを述べた箇所。「どうしたんだ? どこへ行くんだ?」という覚醒の言葉には、失礼ながら、読んだ際思わず吹き出しちゃいました。
29 … 故郷の街に四年前に戻ってきた時のスタヴローギンの風貌を描写した箇所。ドストエフスキーの小説では、登場人物が最初に登場した際のその人物の容姿についてのデッサン風の描写はいずれもその登場人物の性格をたくみに示したものになっていますが、このスタヴローギンの顔についての描写は、とりわけ生彩を放つ傑作と言えるでしょう。
30 … 自分と瓜二つの人物(新ゴリャートキン氏)が勤め先の部署に登場して活躍する中、彼に劣る自分を意識し始めたゴリャートキン氏(旧ゴリャートキン)が夢に見た出来事を描写している箇所。夢の中で自分と瓜二つの人間があふれていくといったこの内容は、ドストエフスキーのオリジナルなのか、ちょっと気になります。人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」に主人公両津勘吉にそっくりの人間が街にあふれるという一話がありましたが、原作者の秋元治氏は『二重人格(分身)』のこの箇所を踏まえたのかなと私などは思ってしまいます。
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