主な歌人と和歌集
(更新:24/11/01)
『 』は和歌集。『 』は知ら
れた和歌集。「 」は私家集。
赤は代表的な歌人。
青は有名ではないが注
目したい歌人。
[ ]は和歌のジャンル名。
〈古代〉
『万葉集』
柿本 人麻呂
山部赤人
額田王
山上憶良
大伴旅人
大伴家持
高市黒人
小野老
猿丸大夫
〈中古〉
『古今和歌集』
紀 貫之
凡河内 躬恒
壬生忠岑
紀 友則
在原業平
小野小町
伊勢
伊勢大輔
相模
僧正遍昭
素性法師
藤原敏行
曽禰好忠
坂上是則
文屋朝康
『後撰和歌集』
源 順
大中臣 能宣
中務
藤原敦忠
清原元輔
紀 時文
坂上望城
『拾遺和歌集』
花山院
大納言公任
権中納言匡房
赤染衛門
儀同三司母
『後拾遺和歌集』
和泉式部
藤原定頼
藤原通俊
『金葉和歌集』
源 俊頼
源
兼昌
『詞花和歌集』
藤原顕輔
『千載和歌集』
藤原俊成
〈中世〉
『新古今和歌集』
藤原定家
西行
「山家集」
式子内親王
寂蓮法師
藤原家隆
藤原良経
宮内卿
俊成卿女
飛鳥井 雅経
後鳥羽院
源実朝
「金槐和歌集」
『新勅撰和歌集』
建礼門院右京大夫
『続後撰和歌集』
藤原為家
阿仏尼
『続古今和歌集』
藤原家良
『続拾遺和歌集』
二条為氏
『新後撰和歌集』
二条為世
『玉葉和歌集』
京極為兼
永福門院
伏見天皇
『風雅和歌集』
光厳院
冷泉為秀
『新続古今和歌集』
飛鳥井 雅世
正徹
東 常縁
飯尾宗祇
心敬
宗砌
兼載
今川了俊
三条西 実隆
夢窓疎石
一休宗純
〈江戸時代〉
細川幽斉
松永貞徳
北村季吟
三条西 実条
三条西 実枝
烏丸光広
木下 長嘯子
下河辺 長流
戸田茂睡
荷田春満
荷田在満
契沖
賀茂真淵
楫取魚彦
田安宗武
本居宣長
本居春庭
村田春海
加藤千蔭
中島広足
清水浜臣
平田篤胤
伴 信友
田中大秀
冷泉為村
石野広通
小沢魯庵
香川景樹
良寛
橘 曙覧
大隈言道
井上通女
大田垣 蓮月
[狂歌]
四方赤良
唐衣橘洲
朱楽管江
宿屋飯盛
平秩東作
石川雅望
鯛屋貞柳
私の好きな百人一首の秀歌
「小倉百人一首」の百首
のうち、好きな和歌の
ベスト10(1〜10)を
以下に挙げた。
1
寂蓮法師
村雨の/露もまだ干ぬ/
まきの葉に/霧立ちのぼる/
秋の夕暮
2
山部赤人
田子の浦に/うち出でて見れば/
白妙の/富士の高嶺に/
雪は降りつつ
3
文屋朝康
白露に/風の吹きしく/
秋の野は/つらぬきとめぬ/
玉ぞ散りける
4
紀友則
ひさかたの/光のどけき/
春の日に/しづ心なく/
花の散るらむ
5
権中納言定頼
朝ぼらけ/宇治の川霧/
たえだえに/あらはれわたる/
瀬々の網代木
6
坂上是則
朝ぼらけ/有明の月と/
見るまでに/吉野の里に/
降れる白雪
7
鎌倉右大臣
世の中は/常にもがもな/
渚漕ぐ/海人の小舟の/
綱手かなしも
8
猿丸大夫
奥山に/紅葉踏み分け/
鳴く鹿の/声聞く時ぞ/
秋は悲しき
9
源兼昌
淡路島/通ふ千鳥の/
鳴く声に/いく夜寝覚めぬ/
須磨の関守
10
権中納言敦忠
逢ひ見ての/のちの心に/
くらぶれば/昔はものを/
思はざりけり
※、各和歌の語注や歌意は、以
下を参考にしてみて下さい。
・百人一首の語注・鑑賞
その他の秀歌・選
現在、10首。
(以下の1〜10)
※、各和歌に自分な
りに語注を付した。
1
藤原敏行
秋来(き)ぬと/目にはさやかに/
見えねども/風の音にぞ/
おどろかれぬる
※秋来ぬ=秋が到来した。
※さやかに=はっきりとは。
※見えねども=見えないけれど。
※おどろかれぬる=自(おの)
ずとハッとしたことよ。
2
源実朝
大海(おおうみの)の/
磯(いそ)もとどろに/
寄する波/われてくだけて/
裂けて散るかも
※、とどろに=音が大きく鳴
り響くさま。
※散るかも=飛び散るよ。
3
在原業平
つひに行く/道とはかねて/
聞きしかど/昨日今日とは/
思はざりしを
※聞きしかど=聞いていたけれど。
※昨日今日とは=自身の死が、
昨日は乗り越えたものの、
今日になるとは。
※思はざりしを=思って
もみなかったよ。
4
大伴家持
わが屋戸(やど)の/
いささ群竹(むれたけ)/
吹く風の/音のかそけき/
この夕べかも
※わが屋戸の=自分の住まいの。
※いささ群竹吹く風の=ほん
の少しばかりの群れ
た竹に吹く風が。
※かそけき=かすかな。
※この夕べかも=この夕
方であるよ。
5
藤原定家
しろたへの/袖(そで)のわかれに/
露おちて/身にしむ色の/
秋風ぞ吹く
※しろたへの=袖の枕詞。白
っぽい。
※袖のわかれに露おちて=彼
女との別れ際にその袖に
涙が落ちて。
※身にしむ色の秋風ぞ吹く=身
に沁(し)みる色をした秋
風が吹くことよ。
6
西行法師
心なき/身にもあはれは/
知られけり/鴫(しぎ)立つ沢の/
秋の夕暮れ
※心なき身にもあはれは知ら
れけり=出家して俗世への
執着心を捨てたはずの我が身
にも、しみじみとした感動は自
ずと生じたことよ。
※鴫立つ沢の秋の夕暮れ=鴫
が不意に飛び立ったこの湿地
帯の秋の夕暮れの光景を眺
め渡して。
7
永福門院
真萩散る/庭の秋風/
身にしみて/夕日の影ぞ/
壁に消えゆく
※真萩散る庭=美しい萩
の花が散る庭。
・夕日の影ぞ壁に消えゆく=夕
陽の光が部屋の壁に吸い込
まれるように消えてゆくよ。
8
藤原家隆
志賀の浦や/遠ざかりゆく/
波間より/
凍(こお)りて出(い)づる/
有明の月
※志賀の浦や=眼前のこの
近江の志賀の浦よ。
※遠ざかりゆく波間より=夜
になって岸から海面が凍っ
ていくので波打ち際が遠ざ
かっていくその波間より。
※凍りて出づる=凍ったかの
ような様子で上がっていく。
※有明の月=明け方になって
も空に出ている月であるよ。
9
小野 老
あをによし/奈良の都は/
咲く花の/にほふがごとく/
今盛(さか)りなり
※あをによし=奈良の枕
詞。美しい。
※咲く花のにほふがごとく=咲
く花が美しく照り映えるように。
※今盛りなり=今、真っ盛り
であるよ。
10
一休宗純
くもりなき/一つの月を/
もちながら/浮き世の雲に/
迷ひぬるかな
※くもりなき一つの月を
もちながら=人は誰でも本
来明るい月のような曇(くも)
りのない心を持ちながら。
※浮き世の雲に迷ひぬるか
な=月を覆(おお)ってしま
う灰色の雲のような現世(
げんせ)の様々なことに惑(ま
ど)わされて、心はいつしか
輝きを失ってしまっている。
江戸時代の狂歌・選
作者として、
四方赤良(大田南畝・蜀山人)、
朱楽菅江、宿屋飯盛(石川雅望)、
唐衣橘州、平秩東作、頭光、
風来山人(平賀源内)、
鹿都部真顔、馬場金埒、
浜辺黒人
など
狂歌とは、古典の和歌を
おもしろおかしく作り替
えたもの。
現在、傑作と思ったぶんを
4首掲載。(以下の1〜4)
1
四方赤良
月みれば/千々に芋こそ/
喰(く)ひたけれ/わが身ひとりの/
すきにはあらねど
↑
大江千里
月みれば/千々にものこそ/
かなしけれ/我が身ひとつの/
秋にはあらねど
2
四方赤良
むらさめの/道のわるさの/
下駄の歯に/はら立ちのぼる/
秋の夕ぐれ
↑
寂蓮法師
村雨の/露も未だ干ぬ/
槇の葉に/霧立ち昇る/
秋の夕暮
3
唐衣橘州
菜(さい)なき/膳にあはれは/
知られけり/しぎ焼き茄子(なす)の/
秋の夕暮
↑
西行
心なき/身にもあはれは/
知られけり/鴫立つ沢の/
秋の夕暮れ
4
宿屋飯盛
歌よみは/下手こそよけれ/
あめつちの/動き出(いだ)して/
たまるものかは
↑
※、『古今和歌集』序文の
「和歌は天地を動かす」
との言葉尻を捕らえ
た狂歌。
中世の連歌師
青は、代表的な連歌師。
『 』は連歌集。
〈室町時代中期〉
善阿
二条良基
『菟玖波集』
心敬
宗砌
専順
飯尾宗祇
『新菟玖波集』
『水無瀬三吟百韻』
『湯山三吟百韻』
『竹林抄』
宗長
兼載
肖柏
宗碩
〈室町時代後期〉
里村昌休
里村紹巴
木食応其
山崎宗鑑
荒木田守武
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