< 問題本文 (11〜20) >
【正解】
11 … 『死の家の記録』
の第一部「十一、芝居」内のもの。
(新潮文庫のp252。)
12 … 『罪と罰』
の第1部第2内のもの。
(新潮文庫の上巻のp41。)
13 … 『貧しき人びと』の終部のもの。
(新潮文庫のp250。)
14 … 『死の家の記録』
の第一部「九」内のもの。
(新潮文庫のp187。)
15 … 『賭博者』
の第10章内のもの。
(新潮文庫のp131。)
16 … 『罪と罰』
の第2部第7内のもの。
(新潮文庫の上巻のp326。)
17 … 『永遠の夫』
の終部のもの。
新潮文庫のp251〜p252。)
18 … 『カラ兄弟』
の第8編第8「夢幻境」内のもの。
(新潮文庫の中巻のp335。)
19 … 『死の家の記録』
の第二部の「六、監獄の動物たち」内のもの。
(新潮文庫のp373。)
20 … 『白痴』
の第1編第3内のもの。
(新潮文庫の上巻のp67。)
【解説・コメント】
11 … シベリヤ流刑時代の夜の監獄内の、囚人たちのねぐらの光景。監獄内で寝起きしたドスト氏の体験の実感や暗い狭いその部屋の中の様子がリアルに読者に伝わってくる印象的な箇所。
12 … 居酒屋でマルメラードフがラスコーリニコフに向かって自分のような人間に対する神のゆるしへの信仰を語る有名なシーン、の末部のマルメラードフの絶唱の言葉。
13 … ワルワーラが婚約者ブイコフ氏に伴って町を去ることを知ったマカール‐ジェーヴシキンが、彼女を引きとめようと、いとしい彼女へ向けて、彼女に届くともわからず、切々(せつせつ)と書いた最後の手紙の中の言葉。ちなみに、ヘッセの名作『車輪の下』の題名は、もしかして、この箇所から取った?
14 … 「浴室の戸をあけたとたんに、わたしは地獄に突き落とされたかと思った。」で始まる、監獄の囚人たちでぎゅうぎゅう詰めになった監獄内の浴場の様子を活写した場面(p186〜p188)の一節。ツルゲーネフによって、「ダン テ的だ」と絶賛された箇所。神西清の評「クリスマスが近づいて、囚人たちが久しぶりで入浴を許された時の情景である。さながら一幅の地獄絵がミケランジェロを思わせる逞(たく)ましい構成をもって描き出されている。怖るべき狂躁の図柄ではあるが、しかもそこには一抹(いちまつ)の悪魔的なグロテスクさもなく、全画面が殆(ほと)んど原始的なまでの生の躍動に塗りつぶされている。この健康さに注意すべきだ。」
15 … 皆にお祖母さんと呼ばれている活発な老女アントニーダ‐ワシーリエヴナ‐タラセーヴィチェワが、賭博場にいって、大当たりした際のリアクションを描写したもの。
16 … 馬車にぶつかったマルメラードフがかつぎこまれた自宅の部屋で息をひきとり、ラスコーリニコフがその帰り際、階段の下でソーニャの幼い妹ポーレチカに呼び止められ対面する場面。ドスト氏の少女の描写には、つねに生彩がある。
17 … 後日談である最終章で、列車の中で偶然、昔妻を寝取ったヴェリチャーニノフに出会ったトルソツキーが、自分の娘ではないことを知ってからはひそかに虐待していた自分の今は亡き娘(実はヴェリチャーニノフとの間にできた娘)への思いを述べて涙をほとばしらせる場面。作中、泣かせどころの一つ。
18 … ドミートリイがやってきたモークロエ村でのどんちゃん騒ぎの中、初恋のポーランド人との再会に幻滅し、酩酊(めいてい)したグルーシェンカが言う言葉。グルーシェンカの隠れた真情が思わず吐露されていて、心打たれる箇所。
19 … 監獄の敷地内にいた犬たちのことを描写した箇所。虐げられたものたちへのドスト氏のやさしい心根(こころね)やいたわりが現れていて、心打たれる箇所。
20 … ロゴージンはナスターシャ‐フィリポヴナと結婚するでしょうか、とのガーニャの問いかけに対して、たとえ結婚したとしてもたぶん一週間もたたないうちに彼はあの女を斬り殺してしまうでしょう、とのムイシュキン公爵の予言的な即答に、青年ガーニャが反応するきわめて印象の強い箇所。
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